Baobab

Baobab -場面緘黙・自閉症スペクトラムの子育て-

小学校の支援のこと、スモールステップの日々のこと

「何で話さないの?」と、本当にこのまま話さなくてもいいのかについて考える

前回のピアノのクリスマス発表会、

会場には同じクラスの女の子が3人いました。

 

女の子たち「どうして息子くんは話さないの?」

女の子たち「家では話すの?」

 

私「家ではたくさんお話しするよ」

私「はずかしがりやさんなんだけど、話しかけてくれるとうれしいんだよ」

 

なんて、いつものやり取りをしてました。

 

女の子「それにしても恥ずかしがり屋すぎる」

 

私「・・・笑(たしかにそうだよね)」

 

子どもにとって話さない子どもは謎だよね

話しかけてるのに、

話せばいいのに、

 

「何で話さないの?」

至極まっとうで純粋な疑問だと思います。

 

もう2年生も3学期。

クラスメイトは息子のこと

「話さない子」

という認識があります。

場の流れを読むことが苦手でもあるので、

こっちだよとかこうするんだよなんてサポートもしてくれたりします。

 

何で話さないの?という疑問をもちつつも

話さない子として認識して、

みんな普通の生活を送っています。

 

そう、息子もクラスメイトも

話さなくてもなんとかなっている

んです。

 

目立つことを苦手とする場面緘黙の子は

話さないことに注目をあびたくありません。

なので話すことが出来なくても話さないことをクローズアップされたくありません。

なんとかなっているという状態は

息子にとってある意味では良い状態なのです。

 

しかし、

場面緘黙の子は「話したい」という欲求があるにもかかわらず

話すことができません。

話さないのが普通になってしまうのもある意味では良い状態ではないのです。

 

実は息子は、

話したいとは思っていないようなのです。

以前聞いたところ、6年生になってもずっと話さないで過ごしたいと言っていました。

これが本心かどうかはわかりませんが、

おそらくまだ「話したい」という希望より、

話すことで目立ってしまうことの方を恐れているのかもしれません。

現状、話さなくてもなんとかなっていますし。

 

息子に話したいという欲求がないのであれば、

私は現状のままでいいと思っています。

というか、本人も話したくないのに、

話す機会をつくるとか、強制するとかはやり過ぎだと思います。

なぜなら、場面緘黙は不安障害でもあるからです。

 

ただ、

話せないといつか必ず困る時が来ます。

親はいつまでも生きてはいないし、

一人で仕事をしてお金を稼いで生活をしていかなければなりません。

もしくは、だれかと出会って結婚して生活をしていかなければなりません。

 

どちらにしても、

最終目標は仕事をして生活する、自活です。

 

小学校では先生や周りの子が

それなりに対応してくれても、

中学、高校、大学、そして社会人になるころには

だんだん自分だけの力で動かなくてはなりません。

 

これが出来なければ、

障碍者として生きる道を選択することになるでしょう。

障碍者雇用枠で就職し、

結婚はできないにしても

福祉の助けを借りて

生きていくことは可能です。

 

以前、かかりつけの病院で

療育手帳について聞いてみました。

 

場面緘黙もあり自閉症スペクトラムもあるので

現状困っているからです。

この先も漠然とした金銭面を含む不安もありました。

 

でも先生は、息子の状態を見て

今そういう風に親が決めなくても、

いづれ自分で選択するときがくるかもしれない。

どうやって生きるかはその時自分で選択させたほうがいいのではないか

ということでした。

 

息子は来年度から通級に毎日1時間通うことになり、

サポートが受けられます。

それと同時に、

話さなくて済むことが当たり前にはなってほしくないとも思います。

話せなくてもなんとかなるとは思ってほしくないのです。

 

話したい

「話したい」という自発的な気持ち。

 

「話せなくて困るから話したい」

「話したいことがあるから話したい」

 

まずはそこからかなという感じです。

 

今通級で、息子の好きなテレビ番組の話を

上級生や先生と盛り上がっているという話をききました。

もちろん言葉でなく、ジェスチャーや筆談でだそうです。

 

盛り上がり過ぎて、うっかり話しちゃったりしないかなぁなんて

思ったりもします。

なのでテレビ番組、ゲーム、とにかく

好きなものは何でも触れさせてます。

もちろん時間は守って・・・



場面緘黙の息子は究極の内向型人間

 内向的と言うと外向的な人に比べて暗いイメージを持たれやすいです。

実際「内向的」と検索すると「辛い」「仕事」「疲れた」とか、マイナスな言葉が一緒にあがっていて、中には生きづらさを感じている人もいるようです。

 

 でも、内向的だから悪い、外向的だと良いということは決してありません。

 

 なぜ内向的な人が悪いかのようなイメージを持たれがちかというと、

 

私たちは子どもの頃から

・外で元気いっぱいに遊ぶこと

・友だちがいっぱいいること

を良しとされてきたからです。

 

誰とでも仲良く遊んで、大きな声であいさつし、元気に体を動かすと、親や先生に褒められ、

そうでないと心配されたり、外で元気に遊んできなさいなどと言われたりする。

 

だから、初めての子育てで自分の子供がおとなしかったり積極的でなかったりすると、親は過度に心配してしまいます。

 

そして、人間の過半数は外向的な人であるのに対し、内向的な人間は4分の1程度しかおらず、

そのために

外向的な人が作る社会やシステム、規範は

多くを占める外向型の理想とするものになっていきます。

 

内向的とは

そもそも、 内向的か外向く的かというのは、興味や関心が自分の内側にあるか外側にあるかの違いです。内向的な人は、自分の考えや感情などにフォーカスが行きます。

多くの人と関わるよりは、狭く深くという関係を好み、物事に対しても深く考えていきます。大勢の中ではエネルギーを消耗してしまい、一人や少人数でいる方を好みます。

それゆえに、大人しい、消極的と思われたりします。

 

 以前聞いたことがあるのですが、

内向型・外向型というのは一つのつながった棒(みたいなもの)の両極にあるのだそうです。

つまり、ゴリゴリの内向型ではないけど、バリバリの外向型でもないという場合は、その棒の真ん中あたりという感じで、だれもがそのどこかに自分の型というかちょうどいい場所があるのだそうです。

 

 息子は、その棒で言うと

内向型端っこの方かと思います。

 

私自身、内向的だと自他ともに思っていますが

ぎりぎり端っこというよりは、もうちょっと内側に近いのかなって思います。

だから、息子のことがよーくわかるところもあるし、

でも時に

「どうしてそこまで緊張してしまう?そこまで心配しなくても大丈夫だよ・・」

「よくそんなことまで考えが及んで心配しているな」

とむしろ関心してしまうほどの時もあります。

 

内向型の子

内向タイプは、自分の内側にフォーカスが行くので、表に出さなくても多くのことを考えて、感じています。

親や周りの大人が思っている以上のことを知ってたりします。

内向型と外向型では、そもそも脳の機、能や使い方、脳内の伝達物質等の感受性がちがうので、内向な子にはその子にあった方法が必要です。

その子にあった方法という意味では内向・外向関係なくみんなそうなのですが。

世の多数を占める外向型人間が作った理想や指標、方法論、教育法は

内向型の子にからなずしも当てはまるとは限りません。

 

内向的な子に接する上で知っておきたいこと

内向的な子は外から見聞きした情報を処理するために、一人でかみ砕く時間が必要です。そのために静かな環境や時間を用意してあげるといいです。

そうやって自分の中でかみ砕いて消化して、そうすることで次の行動を起こせたり自分なりの意見をもてたりできます。

 また、外向的な人が外の世界で多くの人と会うことによって元気が出たり活力になりますが、内向的な人が同じことをするというのは、ただただエネルギーを消耗するだけになります。

 外の世界で人と刺激に触れたり、人とあったりすることはもちろん楽しいときもありますが、そのあとには家に帰って静かにゆったりする時間が必要です。

 外から帰ったあとに、あれやこれや、宿題やったのかなど急かすことはせず、

とにかくのんびり休憩時間をとってあげるといいです。宿題はそれからです。

 

f:id:madagus:20181213133536j:plain

学校の中での内向的な子

場面緘黙である息子は、学校に行きたくないと言ったこともなく、

学力的にも普通学級で全然問題ないとのことですが、

希望を出して支援級の通級に通うことになりました。

究極の内向型人間であり、現在場面緘黙という状態になっている息子にとって

「普通」つまり 気質の棒の真ん中付近の多くの人たちが思っている以上に

学校では緊張状態が続き、エネルギーを消耗しまくっています。

学校のどこかにほっとできる場所ができるといいなあと思っていました。

 

また、

学校の先生というのは生徒や保護者と向かい合う仕事を選んできた方たちなので

気質の棒で言うと、真ん中~外向的の方たちが多いです。

 

大きな声であいあさつ

元気よく手を挙げて発表

休み時間は外で思いっきり体を動かす

たくさんのおともだちと仲良く過ごす

 

これらは私から見ても理想的な子どもの像です。

でも、息子にはできません。

できないというかそもそもそうしたいとも思ってないのだろうし

周りの子は難なくできて褒められることをするために

息子にはとてつもなく膨大なエネルギーが必要です。

 

ただ教室のいすで座っているだけで

とても緊張しエネルギーを消耗する息子にとっては、

教室、学校というのは

とても自分の能力を最大限に活かせる場所とは思えません。

 

とにかく好きなことを

 学校から帰ってきたら、おやつを何よりの楽しみにしている息子におやつを用意し、のんびりリラックスさせています。

 甘いものが好きなので、糖分の摂り過ぎや虫歯などの心配もありますが

今は、それ以上にリラックスして安心できる時間というのは大事だと思っています。

もちろん量を決めて食べ過ぎないようにしてます。

ゲームも大好きなので、時間を決めて毎日させています。

 ひととおり存分に楽しんだら、宿題を頑張ることができます。

宿題が終わると、あとは自分の内側からやりたいと思っていることをやり始めるので

とことん没頭させます。

 何かに集中してるときに話しかけてはいけません。

ちょっとぐらいお風呂の時間が遅くなっても本人が満足するまでやらせます。

満足したら、自らお風呂は?なんて言ってきます。

今はこんな感じで見守っている状態ですが、

いつか本当にこれだ!という好きなことを見つけて、

それが仕事につながったらいいなあなんて思っています。